【鶴見・川崎の歯医者】伝達麻酔法について

歯科治療で歯を削るときは麻酔をかけてから行いますが、取り扱う麻酔の種類は一つではありません。

治療内容や症状に応じて適切な麻酔法を使い分けることになります。

今回解説するのは、麻酔法の一種である伝達麻酔法です。

伝達麻酔法の内容と、どのような時に使用されるのか解説します。

伝達麻酔法とは?

歯科医院で扱う麻酔にはさまざまな種類があります。

伝達麻酔という神経の周辺に注射して神経伝達をブロックする注射も、歯科医院で行うことがある麻酔法です。

伝達麻酔は、口の奥の方を通る下顎神経に分かれている三叉神経という神経の支流がある、下顎神経の近くに注射を打ちます。

神経周囲に麻酔することで痛みを感じなくなり、舌や下唇など広い範囲に長時間効果が発揮されるのです。

麻酔が切れるまで3~6時間かかり、また神経の付近に注射をするため、しばらく下顎がしびれたような感覚が残ることもありますが、数日経過すればしびれは消えます。

浸潤麻酔と同じように注射をして麻酔をかけますが、麻酔の対象となるのがブロックした神経から末端に至るまでの神経であるため、より強い効果が得られる麻酔法といえるでしょう。

ブロックされる範囲は最小限に留まるため、呼吸や循環には基本的に影響せず、運動機能に対する制限も限定的です。

また、抗凝固薬や抗血小板を服用している場合でも、伝達麻酔をかけることは可能で、影響を与えることはありません。

主に使われる治療は?

伝達麻酔が主に使われる治療として挙げられるのが、親知らずの抜歯です。

ただし、どの親知らずでも使われるわけではなく、主に下の親知らずにだけに使われます。

一般的な歯科治療の麻酔は浸潤麻酔という、歯肉に針を指して骨に麻酔液を浸透させるという麻酔法で、歯肉の治療にも同様に行います。

歯肉には麻酔液が直接注入されているため確実に効果が出ますが、歯の治療では骨に浸透させる必要があるため、麻酔が効きづらいケースも少なくありません。

多くの場合、効きにくいケースは歯根の位置や骨の厚み等に問題があります。

歯根は、大部分が頬側にあるため、麻酔を頬側に打てば効果は得られますが、下の奥歯については異なります。

下の奥歯は、歯根の先端部分が骨の中央から舌側にあることが多いため、骨の厚みによっては頬側に打っても効きづらいづらいことがあるのです。

また、下の親知らずの手前にある下顎第二大臼歯は、骨が他の歯より2倍以上厚いため、麻酔の効果が得られにくくなります。

たとえば浸潤麻酔の場合、骨の中に麻酔液を浸透させるために麻酔液の量を増やしても、効くまでに時間がかかるでしょう。

また、一度痛みを感じると麻酔の効果が発揮されません。

痛みを感じず、麻酔が効くまでの時間を短くして治療したいという人は、伝達麻酔を受けて治療する必要があるのです。

浸潤麻酔は神経の末梢にしか効果がありませんが、伝達麻酔であれば浸潤麻酔よりも中枢の神経まで麻酔の効果を発揮します。

中枢の神経まで麻酔の効果が得られるのならば、末梢神経に麻酔が効きづらいとしても、もっと根本の部分に対する効果があるため、問題はありません。

歯科医は一般的に、下顎孔伝達麻酔という方法を用いますが、麻酔効果を得るために神経の近くに注射する際、神経や血管に刺してしまうケースがあります。

神経に注射すると神経麻痺がおこる可能性があります。

また、大きな血管に麻酔液を注入すると血中濃度が急激に上がるため、中毒や血管損傷のリスクが高まるのです。

このような理由から、近年では下顎孔伝達麻酔は避けられ、別の方法で注射するケースが増えています。

伝達麻酔法がおすすめの人

伝達麻酔はどのような人にでもおすすめの麻酔法というわけではありません。

伝達麻酔がおすすめの人は、呼吸や循環に不安があったり、関連する持病があったりする人です。

伝達麻酔は意識がある状態で行うもので、局所麻酔のための麻酔液を使用することから全身への影響が少なく、呼吸や循環も安定したままになります。

全身麻酔と比べて安全性が高く、術後も速やかに回復できるため、手術に対する身体、精神のストレスが少ないという点もメリットです。

手術を受けることに不安が強い人、術後にすぐ動きたい人などには、伝達麻酔による治療がおすすめです。

しかし、浸潤麻酔より効果が高い分、副作用が起こる可能性も高くなるため、心臓の持病がある人などにはおすすめできないこともあります。

まとめ

伝達麻酔は、神経をブロックして麻酔をかける麻酔法で、歯の周辺の末梢神経だけではなくより中央に近い神経まで麻酔の効果を
及ぼすため、痛みを感じるケースが少なくなります。

主に下の親知らずを抜歯する際に行われる麻酔法で、上の親知らずの抜歯には使えないことも多いでしょう。

全身麻酔よりも安全性が高いのが特徴ですが、浸潤麻酔より効果が高いため、心臓の持病などがある場合は受けられないこともあります。

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