虫歯予防の主な方法と言えば、正しい歯磨きや糖分の節制、十分な睡眠や定期検診などが挙げられます。
また、日頃からガムを噛むことでも、虫歯の予防につながります。
今回は、ガムを噛むことが虫歯予防につながる仕組みや、その他のメリットなどについて解説したいと思います。
ガムが虫歯予防につながるワケ
ガムを噛むことにより、唾液が分泌されやすくなりますが、唾液には溶かされた歯の表面を再石灰化してくれるカルシウム、リンといったミネラルが含まれています。
また、唾液の分泌量が増えると、緩衝作用によって口内の酸性度が下がったり、唾液の流れそのもので、虫歯になりにくい環境が整ったりすることにつながります。
ガムを噛むことによるその他のメリット
ガムを噛むことには、虫歯予防以外にも以下のようなメリットがあります。
・ストレス解消になる
・記憶力、集中力が高まる
・肥満防止になる
・若返り効果
ストレス解消になる
ガムを噛むと、ストレス物質の血中濃度が下がり、イライラを抑えることができます。
こちらは、咀嚼によって脳のストレスを感じる部分が落ち着くことが理由です。
記憶力、集中力が高まる
ガムを噛むことで、脳への血流が増え、脳の運動野や感覚野、前頭葉野や小脳などが刺激され、活性化します。
特に、脳の前頭葉野は判断や感情、行動、記憶、コミュニケーションなどをつかさどる重要な部分であるため、こちらが活性化することにより、記憶力や集中力を高められます。
肥満防止になる
食前などにガムを噛むことにより、脳の満腹中枢が刺激され、食欲を抑えることができます。
ガムチューイングによるダイエット効果を検証した実験によれば、朝食、昼食、夕食を摂る食前に10分間ガムチューイングを行った結果、内臓脂肪、皮下脂肪が減少し、動脈硬化の予防効果があったという結果が示されています。
若返り効果
唾液の中には、パチロンという唾液腺ホルモンが含まれています。
こちらは若返りホルモンと呼ばれ、老化が顕著に見られる歯や毛髪、生殖器などの機能維持に効果があると言われています。
ガムを定期的に噛むことで、こちらのホルモンの分泌量も増えるため、必然的に若返り効果が期待できます。
ガムを選ぶ際の注意点
前述の通り、ガムを噛むことには虫歯予防の効果だけでなく、さまざまなプラスの効果があります。
しかし、虫歯予防としてガムを噛む場合、どのような製品を選んでも良いというわけではありません。
おすすめなのは、キシリトールが配合されたガムです。
正確に言うと、キシリトール100%配合で、砂糖不使用の製品です。
キシリトールには、虫歯菌の糖代謝を阻害し、活動や繁殖を困難にさせるだけでなく、口内の酸を減少させる働きもあります。
また、キシリトールの甘味により、唾液の分泌量が増加し、それによって自浄作用や歯の成熟作用、再石灰化が促進され、歯が強化されます。
ちなみに、虫歯予防だけでなく、口臭もある程度防ぎたいという方は、消臭効果があるクロロフィルが含まれているガムもおすすめです。
正しいガムの噛み方について
虫歯予防としてキシリトールガムを噛む際は、噛み方についても意識しなければいけません。
まず、噛み始めの唾液は、できるだけ長く口の中に残しておきましょう。
キシリトールの成分は、噛み始めのときに多く出ます。
そのため、このときに出た唾液を口の中に長くとどまらせると、虫歯菌に浸透しやすくなり、虫歯予防の効果が上がります。
また、キシリトールガムは、食後30分以内に噛み始めるのがポイントです。
虫歯菌は糖やタンパク質をエサに酸を出し、歯を溶かしますが、キシリトールとエサを間違って取り込むと、歯を溶かす酸を出すことができなくなります。
よって、食後はなるべく早めに噛む方が、虫歯予防には効果的です。
その他、一度に2粒噛むというのもポイントです。
キシリトールガムに含まれるキシリトールの量は、1.3g程度です。
虫歯予防でキシリトールが効果を発揮する1日の量は4~10g程度であるため、2粒を1日2~3回噛むとより効果はアップします。
大量に食べすぎないように注意しよう
ガムの虫歯予防効果を大きくしたいからといって、1日に10粒も20粒も食べないようにしましょう。
ガムを噛みすぎると、歯の表面にあるエナメル質が擦り減ります。
エナメル質が擦り減ると、噛み合わせが深まり、歯と歯を合わせた際に、下の前歯が上の前歯の裏側を上向きに突き上げ、出っ歯になったり、前歯に隙間ができたりするリスクが高まります。
また、かえって虫歯に弱い歯が形成されてしまう可能性もあるため、前述の通り2粒ずつ、1日に2~3回噛む程度にとどめておきましょう。
まとめ
ここまで、ガムを噛むことの虫歯予防効果を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
きちんと製品を選び、噛み方や量などに注意すれば、ガムを噛むことは大きな虫歯予防の一環となります。
ただし、歯のプラークを落とすことはできないため、ガムを噛んでいるからといって、毎日のブラッシングがおろそかにならないように注意してください。