虫歯は小さな子どもからお年寄りまで、誰しもに発症する可能性のある病気であるため、基本的には永久的にケアを行う必要があります。
また、発症した方の男女比については、実は男性よりも女性の方が割合は多くなっています。
ここからは、女性が虫歯になりやすい主な理由について解説したいと思います。
虫歯を発症した方の男女比について
厚生労働省の調査によると、一人平均虫歯数(治療済みの歯や喪失した歯も含む)は、男性が14.7本であるのに対し、女性は16.1本でした。
また、厚生労働省では、根面齲蝕と呼ばれる、歯の根元に起こる虫歯がある方も割合も、性別ごとに調査されました。
結果としては、30代や40代では男性の有病者率の方が高かったものの、50代では女性が顕著に増加しています。
年齢による違いがあるかもしれませんが、やはり一般的には、女性の方が虫歯は多いと考えられます。
女性が虫歯になりやすい理由4選
男性に比べて、女性が虫歯になりやすい理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・唾液の分泌量が少ない
・歯の構造が薄くやわらかい
・甘いものを好みやすい
・妊娠、出産する
唾液の分泌量が少ない
あまり知られていませんが、女性は男性に比べて唾液の分泌量が少ないです。
こちらは、唾液腺自体が男性よりも小さいことが理由であり、残念ながら個人的な努力ではどうすることもできません。
唾液には抗菌作用があり、口内の細菌を減らす役割を果たします。
また、唾液によって食べカスやプラークが洗い流されるため、唾液の量が減ることで虫歯のリスクも高まります。
ちなみに、女性は男性に比べ、口内の酸を中和する能力が低いとも言われています。
歯の構造が薄くやわらかい
女性は男性に比べて、歯が薄くやわらかいです。
そのため、虫歯の進行がとても早く、重篤になりやすいです。
初期虫歯の状態で歯科クリニックを訪れることができれば、歯を削らなくても治療できる可能性がありますが、このように進行が早いと、気付いたときには痛みが出るほど進行している可能性が高いです。
また、女性は女性ホルモンのバランスの変化により、カルシウムの再吸収量が減り、骨密度が低下したり、骨粗しょう症になったりしやすいです。
つまり、カルシウムに依存する歯だけでなく、骨も弱い傾向があるということです。
甘いものを好みやすい
女性が虫歯になりやすい理由としては、甘いものを好みやすいということも挙げられます。
もちろん、甘いものを好むか好まないかについては人それぞれです。
男性の中にも、甘いものを好んで毎日食べるという方もいます。
しかし、甘いものを食べているイメージはいまだに女性の方が強く、実際に多くの女性が間食として甘いものを口にしています。
糖分は虫歯菌の大好物であるため、このような間食が多ければ多いほど、虫歯のリスクは高くなります。
また、女性はお茶会などでお茶を口にする機会も多いですが、お茶を摂取しすぎると、カフェインが交感神経を刺激するために、結果として唾液の量が減少し、虫歯になりやすい口内環境をつくってしまうこともあります。
妊娠、出産する
妊娠や出産を経験する可能性があるということは、男性にはない女性ならではの特徴です。
また、女性は妊娠中や産後、虫歯のリスクが極めて高くなります。
妊娠中から産後にかけては、口内が酸性化し、こちらが虫歯を引き起こします。
その他、妊娠によってホルモンバランスが崩れ、細菌が増殖しやすくなることも、虫歯につながる原因です。
ちなみに、悪阻があることにより、なかなかブラッシングができないことや、生活環境が大きく変化することも、妊娠中や産後の虫歯リスクが高くなる理由です。
女性は歯周病のリスクも高い
女性は虫歯だけでなく、歯周病のリスクも比較的高いです。
口内の一部の細菌は女性ホルモンを好んでいることから、女性ホルモンの分泌量が増えることにより、細菌の数も増加し、歯周病のリスクが高まります。
また、月経の前には、女性ホルモンの変動が大きくなり、歯茎の炎症が起こりやすい状態になります。
更年期に入るとドライマウスのリスクも高まる
女性の身体は、加齢とともに女性ホルモンが減少していきます。
そのため、更年期に入ると口の中が乾燥し、ドライマウスになるケースがよく見られます。
女性ホルモンの働きの一つに、皮膚粘膜を保護し、潤いを与え、しっとりと艶やかにさせるというものがあります。
こちらのおかげで、女性ホルモンが豊富な間は、肌や粘膜を美しく保つことができますが、女性ホルモンが減少すると、そういうわけにもいきません。
まとめ
ここまで、女性が虫歯になりやすい理由を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
もちろん、男性も虫歯になる可能性はありますが、女性の方が虫歯になりやすい環境、身体の状態になっているケースが多いのは事実です。
また、虫歯だけでなく、さまざまな病気も併発するおそれがあるため、十分なセルフケアとプロフェッショナルケアにより、虫歯を発症させないよう心掛けるのが大切です。