虫歯の痛みに悩まされているものの、なかなか歯科クリニックに通う時間がなく、我慢しているという方は多いかと思います。
しかし、このようなケースでは、ある日急に虫歯の痛みが消えるという現象が起こり得ます。
今回は、こちらの現象の主な理由を中心に解説したいと思います。
急に虫歯の痛みが消える理由4選
虫歯が原因の痛みが出ていたにもかかわらず、急に痛みを感じなくなった場合には、以下のような理由が考えられます。
・痛みの閾値の変化
・体調の変化
・虫歯以外の症状
・神経の死滅
痛みの閾値の変化
虫歯によって発生する痛みは、初期こそ軽度ですが、症状が悪化するにつれて徐々に強くなってきます。
また、このような痛みを感じ続けると、痛みの閾値というものが変化します。
閾値(しきいち)とは、痛みの感じやすさのことをいいます。
閾値が下がると、痛みを感じやすくなり、上がると痛みを感じにくくなります。
簡単に言えばハードルのようなもので、痛みの刺激がそのハードルを越えることで、痛みとして現れるようになります。
虫歯による痛みを長い間感じると、痛みの閾値が鈍くなり、だんだん痛みがわからなくなってくることがあります。
こちらは、虫歯の痛みに慣れることによって起こり、以前より痛みが治まった、もしくはなくなったと感じることにつながります。
体調の変化
虫歯の痛みには、虫歯の進行度合いだけでなく、体調も密接に関わっています。
例えば、日頃の生活で強いストレスを感じている方は、身体の免疫力が低下します。
そのため、普段ならやり過ごせるようなことでも、身体に不調として現れやすくなります。
また、免疫力が低下した口内では、菌が繁殖しやすくなったり、健康な状態では起きないような炎症が起きたりすることで、歯茎の腫れ、歯の痛みなどが強くなることがあります。
虫歯以外の症状
急に虫歯の痛みが消えた場合、そもそも虫歯ではなく、別の症状が原因だったという可能性もあります。
例えば、歯ぎしりや硬いものを食べるなど、歯に強い力がかかった場合、一時的に歯の根っこを支える歯根膜が腫れを起こし、噛んだときに強い痛みを引き起こすことがあります。
虫歯の痛みが消えたと感じるのは、実際はこのような他の症状が完治し、虫歯に似た痛みが消失しただけということも考えられます。
神経の死滅
これまで強い虫歯の痛みがあったにもかかわらず、急に痛まなくなった場合、虫歯が重度にまで進行し、神経が死滅している可能性があります。
歯は一番表層がエナメル質、二番目は象牙質でできていて、その内側に歯の神経があります。
エナメル質だけが虫歯になっている初期の状態では、ほとんど痛みはなく、虫歯が象牙質にまで進行すると、冷たいものがしみたり、甘いものを食べたときに痛みを感じたりするようになります。
また、虫歯が神経にまで達すると、痛みが強くなり、何もしていなくてもズキズキと痛みます。
このような状態を放置すると、やがて神経が死滅し、痛みを一切感じなくなります。
ただし、神経が死滅し、痛みが引いたからといって、虫歯が完治したわけではありません。
神経が死滅した歯を放置するとどうなる?
虫歯の痛みがなくなる理由はさまざまですが、もっとも厄介なのは、やはり虫歯が進行し、神経が死滅してしまった場合です。
このような歯を放置すると、以下のようなデメリットが生まれます。
・感染リスクの上昇
・歯が脆くなる
・歯の変色
歯の神経が死ぬと、その部分が腐敗して細菌が増殖する可能性があります。
こちらは、歯内感染症や歯根の膿の蓄積につながり、歯茎の炎症や腫れ、激しい痛みなどを引き起こします。
また、神経が死滅し、歯の内部の組織が壊死することで、強度が低下して破折の可能性が高まったり、神経が内出血を起こして歯が茶色、灰色などに変色したりすることも考えられます。
神経が壊死した歯の治療方法
神経が壊死した歯の治療では、まず壊死した神経を歯髄腔から取り除くための根管治療を行います。
壊死した歯の状態によっては、数回に分けてこちらの除去作業を行うこともあります。
その後、神経の通っていた歯髄腔を消毒、清掃します。
こちらは、今まで壊死した神経が入っていた場所をキレイにする作業であり、空っぽの空洞になった死腔と呼ばれる部分は、詰め物で封鎖します。
ちなみに、こちらの封鎖の精密性が高ければ高いほど、細菌が繁殖しにくく、歯に再び問題が起きにくくなります。
まとめ
ここまで、ある日急に虫歯の痛みが消える原因を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
虫歯の痛みがなくなったからといって、虫歯が治ったというわけではありません。
特に、長い間歯科クリニックに通わず、虫歯を放置していた方は、歯の神経が死滅してしまった可能性が高いため、抜歯をしなければいけなくなる前に、歯科クリニックを訪れることをおすすめします。