初期症状の場合、虫歯を発症してもほとんど自覚症状はありません。
虫歯が進行するにつれて、徐々に熱いもの、冷たいものを食べたときにしみるなどの症状が出るようになります。
また、虫歯がかなり進行している場合、発熱を伴うことがあります。
今回は、虫歯が原因で発熱する理由を中心に解説します。
虫歯が原因で発熱する理由4選
虫歯を発症したとき、発熱する主な理由としては、以下の病気を併発していることが挙げられます。
・根尖性歯周炎
・副鼻腔炎
・顎関節症
・脳静脈血栓症
各項目について詳しく説明します。
根尖性歯周炎
根尖性歯周炎は、虫歯が悪化し、歯の根の先端にまで炎症が広がっている状態です。
こちらを発症すると、発熱が見られる場合があります。
虫歯は細菌感染症の一種であり、放置して重症化させると、周囲の組織に感染が広がります。
通常は隣の歯に虫歯がうつる程度ですが、歯の神経まで侵され歯冠のボロボロになったような状態では、より重度の症状につながります。
具体的には、歯茎や顎の骨にまで細菌がうつり、発熱症状を引き起こす可能性があります。
ちなみに、このような症状はすべて虫歯菌が引き起こしているとは限らず、風邪などの原因菌も含まれています。
副鼻腔炎
虫歯が原因で発熱する場合、副鼻腔炎を患っている可能性もあります。
副鼻腔は、鼻の内部とつながっている空洞であり、こちらの空洞で起こった炎症が副鼻腔炎です。
奥歯(上顎)の上には上顎洞と呼ばれる副鼻腔があり、奥歯の虫歯が悪化して上顎洞に感染が広がると、上顎洞炎を引き起こすことがあります。
また上顎洞炎の主な症状は、発熱や歯痛、頭痛や片方の鼻づまりなどです。
上顎洞炎を発症している場合、すでに歯の神経が死滅するほど虫歯が進行している可能性があるため、非常に危険です。
顎関節症
虫歯によって発熱している場合、顎関節症を発症している可能性もあります。
顎関節症は、顎が痛くなって口を開くことができなくなったり、顎を動かすと異音がしたりといった症状が出る病気の総称です。
口内に虫歯ができると痛みが強くなるため、無意識に虫歯以外の歯で噛む癖が付きます。
そうすると、こめかみの筋肉が緊張することで血の巡りが悪くなり、頭痛へとつながることがあります。
頭痛が長時間続くと、発熱を伴うことも考えられます。
虫歯は本来、歯そのものに刺激があった場合に痛むものです。
そのため顎のあたりに痛みがあったり、口が開きにくかったりする場合は、顎関節症を疑いましょう。
脳静脈血栓症
虫歯が原因で脳静脈血栓症をすると、症状の一つとして発熱を伴うことがあります。
脳静脈血栓症は、脳の静脈に血の塊である血栓が詰まる疾患です。
虫歯が極度に進行してくると、虫歯菌が歯の中の神経を通り越して血管に入り、脳にまで到達します。
また、これが原因で脳にある静脈に血栓ができ、血の巡りが悪くなって頭痛につながります。
そして、頭痛が発熱を引き起こす原因になります。
ちなみに、脳静脈血栓症は命を落とす可能性もある病気です。
状態がさらに悪化すると、脳出血や脳梗塞にまで移行する可能性もあるため、非常に危険です。
発熱が虫歯を引き起こすことも
虫歯が原因で発熱するだけでなく、風邪による発熱が虫歯を引き起こすこともあります。
正確には、健康なときは無症状であっても、風邪を引いたときに歯痛が生じるというケースです。
こちらは風邪によって免疫力が低下することで、発熱したり、細菌の活動が活性化したりすることが理由です。
また、以前に治療した歯に虫歯菌が残っていて、感染を引き起こすことも考えられます。
歯周病が原因の発熱について
虫歯だけでなく、歯周病が原因で発熱するケースもあります。
こちらは歯周病菌が顎や肺などに広がることが原因です。
歯周病菌そのものが発熱を引き起こすことはありません。
しかし歯周病の細菌による炎症が周囲の組織に広がったり、肺に入って炎症を起こしたりすると、発熱する可能性があります。
仕組みとしては、虫歯による発熱と似ています。
また、発熱を伴う歯周病菌による感染症は歯性感染症と呼ばれ、肺の炎症は誤嚥性肺炎といいます。
歯性感染症や誤嚥性肺炎が悪化すると、呼吸困難や骨髄炎などのリスクも生じます。
親知らずが原因の発熱について
歯に関することでいうと、親知らずが発熱につながることもあります。
親知らずの炎症は智歯周囲炎というもので、主に親知らず周辺の磨き残しによって発症します。
また、智歯周囲炎は段階を追って悪化します。
具体的には歯茎の腫れや膿などが起こり、次第に腫れの範囲が広がって口が開きにくくなります。
最終的には、顔が腫れたり、発熱や全身の倦怠感が出てきたりする場合もあります。
まとめ
虫歯の痛みがあるにもかかわらず、なかなか歯科クリニックを訪れないという方は多いです。
また「痛みさえ我慢していれば何とかなる」と考える方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
前述の通り、発熱などの症状を併発することがあり、場合によっては重篤な疾患にもつながります。
そのため、日頃から歯科クリニックの定期検診に通うことが重要です。