虫歯はブラッシングをおろそかにしたり、甘いものを頻繁に食べたりすることによって発症しますが、主な原因は歯に付着したプラークです。
では、プラークとは一体どのようなものなのでしょうか?
ここからは、虫歯に関する知識として、プラークの詳細について解説していきたいと思います。
プラークとは?
プラークは歯垢とも呼ばれるもので、これらは食べカスではなく、細菌の塊です。
イメージとしては、排水溝などに見られるヌルヌルとしたぬめりに近いです。
こちらの中に、虫歯菌や歯周病菌などさまざまな菌が生息しています。
虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌は、糖質をエサにして、ネバネバした水に溶けにくい性質のグルカンという物質をつくります。
こちらは粘着性が強いため、多くの細菌がくっつき合い、大きな塊に成長していきます。
こちらがプラークの正体です。
また、プラークが残ったまま放置した場合、2~3日後に石灰化し始め、硬く変化します。
こちらは歯石というもので、このような状態にまでなると、自宅でのブラッシングではなかなか除去することができません。
プラークが虫歯につながる仕組み
口内に存在する虫歯の原因菌が糖質を取り込むと、プラークを形成します。
また、それでもプラークを取り除かないでいると、プラークの中で虫歯菌がさらに増殖し、糖質から酸を生成します。
こちらの酸により、歯質からカルシウムやリンが溶け出すことを脱灰といい、さらに放っておくと、エナメル質や象牙質、さらにはもっと奥の歯髄という歯の神経にまで虫歯が進行し、ここまでいくと耐えられない痛みを感じるようになります。
プラークの種類について
虫歯の原因となるプラークには、主に2つの種類があります。
1つは、歯茎より上の歯の部分に付く歯肉縁上プラークです。
こちらは、歯茎より上にあるため、容易に確認できます。
もう1つは、歯茎より下の部分に付く歯肉縁下プラークです。
こちらは歯茎の下、つまり歯周ポケット内に隠れているため、肉眼で確認するのは難しいです。
ちなみに、これらのプラークは、どちらも虫歯だけでなく、歯周病の原因にもなります。
食べカスとプラークの見分け方
食べカスとプラークは、見た目や性質が異なります。
食べカスは、口内に残った食べ物の細かい欠片で、こちらは菌のエサとなるものです。
乾燥していたり、粘着性があったりすることがあり、性質はどのようなものを食べたかによって異なります。
一方、プラークは白色もしくは黄白色をした粘り気のある物質です。
粘着性が高いため、舌などで触った感覚は食べカスと異なります。
プラークと口臭の関係について
プラークは、口内にある程度とどまることにより、歯石に変化します。
また、こちらは強い口臭を発生させる原因になります。
歯石は表面がザラザラしていて、キレイでツルツルしている歯に比べてプラークが付着しやすく、長時間口内にとどまらせてしまいます。
その結果、プラークを口内で発酵させ、嫌なニオイを発するようになります。
このとき発せられるニオイは、ドブのようなニオイ、生臭いニオイなどに例えられることが多いです。
プラークが溜まりやすい部分について
虫歯の原因であるプラークが溜まりやすいのは、主に以下の4ヶ所です。
・隙間のある歯と歯の間
・奥歯の一番後ろ側
・歯並びの悪いところ
・隣の歯が抜けてしまっているところ
基本的に、意識して磨かなければ歯ブラシが届かないところ、ついつい磨き残しが出やすいところには、プラークが溜まりやすいです。
また、もちろんプラークが溜まりやすいところは虫歯になりやすいため、他の歯よりも丁寧に時間をかけて磨いたり、角度を変えて磨いたりする必要があります。
プラークの落とし方について
プラークを歯ブラシで落とす際は、正しいブラッシングの方法を身につけることが重要です。
歯と歯茎の間を磨くときは、傷つけないように弱い力でゆっくりと磨きます。
一度に何本もの歯をブラッシングせず、1~2本ずつ磨くことが大切です。
また、歯ブラシの毛先が全体に均等に触れること、歯と歯の間にも毛先が入ることを意識しましょう。
その他、ブラッシングの回数と時間もポイントです。
1ヶ所あたり20~30回程度ブラッシングし、全体としては10~15分を目安に磨くことで、しっかりとプラークを除去できます。
ちなみに、デンタルフロスや歯間ブラシを併用するのも効果的です。
歯科クリニックのクリーニングについて
歯科クリニックで受けられるクリーニングは、プラークや歯石を取り除く施術です。
具体的には、まず虫歯や歯周病、噛み合わせの検査などが行われ、その後スケーリングや着色除去、ブラッシングやフッ素塗布などが行われます。
また、セルフケアでも十分にプラークが除去できるように、ブラッシング指導も受けられます。
まとめ
ここまで、虫歯の主な原因であるプラークに関することを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ただなんとなくブラッシングをしているだけでは、十分な虫歯予防にはなりません。
日々の食生活を見直し、しっかりとプラークを落とすためのブラッシングをしたり、クリーニングに通ったりすることで、初めて虫歯のリスクは軽減されます。