よほど軽度の症状でない限り、歯科クリニックで虫歯治療を行う際は、事前に麻酔を行います。
また、虫歯治療を受ける方の中には、治療以前にこちらの麻酔に対する疑問や不安を抱えている方も多いです。
ここからは、虫歯治療時の麻酔に関するよくある質問にお答えしたいと思います。
そもそも麻酔はなぜ必要なのか?
そもそも、虫歯治療に麻酔が必要な理由としては、治療中の痛みをやわらげることが挙げられます。
その他、麻酔薬によっては、出血を抑える役割もあります。
虫歯の治療は、指先で行うととても細かい作業になりますが、出血を抑える作用により、歯科クリニックの医師が治療をしやすくなります。
さらに、麻酔は虫歯治療後も、数時間は効き続けます。
このような持続効果のおかげで、術後に痛みが持続する治療であっても、しばらくは痛みを実感しにくい状態で過ごせます。
虫歯治療の麻酔をする瞬間は痛い?
虫歯治療の麻酔に対して不安を抱える方は、注射をする瞬間の痛みが気になっているケースが多いです。
結論からいうと、注射をする瞬間に強い痛みを感じることはほぼありません。
注射による麻酔法は浸潤麻酔と呼ばれるものですが、こちらは極細の注射針が使用されます。
痛みの感じ方については人によって異なるため、一概には言えませんが、チクッとした痛みで済むケースがほとんどです。
ただし、患者さんの中には、口内に針が刺さるところをイメージするだけでも怖く、痛みが助長される方もいます。
そのため、歯科クリニックでは、あらかじめ注射する箇所に薬剤を塗布し、患部を強力に麻痺させ、注射の痛みを極力抑える表面麻酔という方法を併用します。
虫歯治療で麻酔を行った後、いつから飲食して良い?
虫歯治療に伴い、麻酔を施した後は、基本的に麻酔が切れて、感覚が元に戻るまで飲食をしてはいけません。
麻酔の使用量、麻酔の効果が切れるまでの時間については個人差があるため、確実なことは言いづらいですが、1時間半~2時間程度が目安です。
また、麻酔が効いている間は口内の感覚がないため、飲食によって口の中を火傷したり、頬や舌を噛んだりしてもわかりません。
そのため、麻酔が効いている間は、熱い飲み物と食事を控えるようにしてください。
もし、どうしても空腹が我慢できないというのであれば、水分を摂ったり、ゼリーなどのあまり噛まなくても食べられるものを摂取したりする程度にとどめましょう。
麻酔の副作用はあるのか?
虫歯治療を行うときに行われる局所麻酔(浸潤麻酔、表面麻酔など)には、いくつかのリスクが存在します。
具体的には、アナフィラキシーショックや局所麻酔中毒、血管迷走神経反射などです。
ただし、これらはあくまでリスクであるため、必ず生じる副作用ではありません。
特に、アナフィラキシーショックや血管迷走神経反射は、局所麻酔に限らず、医科の治療でも起こり得るトラブルです。
また、局所麻酔中毒とは、局所麻酔薬の血中濃度が急激に上昇することにより、あらゆる中毒症状が現れる病態をいいます。
中毒症状の初期には、興奮や頻脈、血圧上昇などが認められ、末期になると、無呼吸や心停止といった深刻な症状が現れることもあります。
しかし、通常の虫歯治療では、このような副作用が起こることはまずありません。
なぜなら、使用する麻酔薬の量は最小限にとどまる上に、中毒症状が起こりにくい方法で麻酔処置を施すからです。
麻酔をしたときに息苦しくなるのはどうして?
虫歯治療で麻酔を受けた方の中には、麻酔を打っている最中に心臓がバクバクし、息苦しくなったという方もます。
こちらは、麻酔が原因である可能性が高いです。
歯科クリニックで使用される局所麻酔には、アドレナリンが含まれていて、こちらには心拍数を上げ、体内により多くの酵素を供給できるよう、血流を流す作用があります。
また、こちらの作用については、持病などがない方は特に問題ありませんが、高血圧の方や心臓に疾患がある方にとっては負担になるため、事前に歯科クリニックの医師にその旨を伝えておくべきです。
麻酔が効かないことはあるのか?
歯科クリニックで使用される局所麻酔は、強い痛みや炎症がある場合、歯の周辺組織のpHが酸性に傾き、効果が薄れることがあります。
また、下顎は上顎と比較すると骨密度が高く、麻酔薬が歯まで浸透しにくいため、麻酔が効きにくくなることが考えられます。
もし、麻酔の効果が弱いというのであれば、その場で医師に相談することにより、麻酔の量を増やして対処します。
ただし、麻酔が効きすぎてしまうと、効果が切れるまでに時間がかかるため、一度に多くの麻酔をするのではなく、電動麻酔器で徐々に麻酔の量を増やしていくケースが一般的です。
まとめ
ここまで、虫歯治療時の麻酔に関するよくある質問にお答えしてきました。
麻酔や虫歯治療が苦手な方は、まずこれらのことを多く知っておく必要があります。
何も知らない状態で行われる治療ほど、怖いものはありません。
もちろん、麻酔や虫歯治療が苦手なことについては、前もって歯科クリニックの医師に伝えておく必要があります。