歯科クリニックで発生した歯科治療費は、医療費控除の対象になる可能性があります。
具体的には、虫歯治療やインプラント治療、入れ歯作製などにかかる費用が対象になります。
しかし、すべての歯科治療費が対象になるわけではありません。
今回は、医療費控除の対象にならない歯科治療費について解説します。
医療費控除の対象にならない歯科治療費7選
以下のような歯科治療費は、医療費控除の対象外になるため、あらかじめ把握しておきましょう。
・ホワイトニング
・美容目的の矯正治療
・審美治療のための金、セラミック治療
・通常使用の歯ブラシや歯磨き粉の購入費用
・デンタルローンの金利、手数料
・通院時のガソリン代、駐車場代
・通院時のタクシー代
各項目について詳しく説明します。
ホワイトニング
歯科クリニックで取り扱うホワイトニングには、オフィスホワイトニングやホームホワイトニング、これらを組み合わせたデュアルホワイトニングなどがあります。
これらはいずれも、医療費控除の対象外になる歯科治療費です。
医療費控除の対象になるのは、あくまで機能回復等の治療であり、ホワイトニングのような審美目的の治療は対象として認められていません。
また予防目的のクリーニングやPMTCについても、ホワイトニングと同じような扱いになるため、医療費控除の対象外です。
美容目的の矯正治療
矯正治療には、単純に「歯並びをキレイにしたい」という理由によって行うものがあります。
こちらは主に大人の矯正治療を指していますが、残念ながら美容目的の矯正治療は医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除が適用されるのは、主に子どもの矯正治療や、機能性に問題があるために受けた矯正治療です。
子どもの矯正治療には、今後の成長を健全にするという目的が含まれています。
治療をしなければ、今後の成長に悪影響を及ぼす場合があることから、医療費控除の対象となる可能性が高いです。
また大人の矯正治療でも、発音がうまくできない、食べ物をうまく噛み切れないといった状態で受けたものは、医療費控除が適用できることが考えられます。
審美治療のための金、セラミック治療
審美治療のために金やセラミックのインレー、クラウンを装着する場合も、医療費控除の対象にはなりません。
これらの補綴物にかかった費用は、虫歯治療を行ったときのインレー、クラウンとして装着する場合、医療費控除が認められます。
しかし虫歯などの治療を伴わず、単純に金やセラミックの補綴物を装着する場合は、ホワイトニングなどと同じく審美治療という扱いになります。
通常使用の歯ブラシや歯磨き粉の購入費用
こちらは正確にいうと歯科治療費ではありませんが、普段使用する歯ブラシや歯磨き粉の購入費用についても、医療費控除の対象外になります。
歯ブラシや歯磨き粉は、日々の生活に欠かせないものですが、これらは治療ではなく、予防目的で使用するためのものです。
予防目的の場合、前述した歯科クリニックでのクリーニングやPMTCと同じ扱いになるため、医療費控除は受けられません。
デンタルローンの金利、手数料
歯科クリニックには、インプラントや矯正治療など、高額な歯科治療費を分割して支払うためのデンタルローンに対応しているところもあります。
こちらを利用することにより、歯科治療費を用意するのが難しい方でも、問題なく治療を受けられます。
またデンタルローンを使用して支払った歯科治療費も、内容によっては医療費控除が適用されます。
一方、デンタルローンの金利や手数料など、歯科治療とは関係ない部分の費用については、医療費控除の対象外になります。
通院時のガソリン代、駐車場代
歯科クリニックで治療を受けるにあたっては、交通費が発生することもあります。
このとき、電車やバスなどの公共交通機関を利用した料金については、医療費控除を受けることができます。
これに対し、自家用車で通院した場合のガソリン代、駐車場代については、医療費控除が認められていません。
ちなみに小さい子どもが通院する際、親御さんが付き添わなければいけない場合は、親御さんの交通費も通院費に含まれます。
通院時のタクシー代
急遽歯が痛み出したときなどには、タクシーを使って歯科クリニックを訪れることもあるかもしれません。
しかし、通院時に使用したタクシー代については、基本的に医療費控除の対象にははりません。
ただし歯科クリニックの立地や交通制限などの問題により、バスや電車などの公共交通機関が利用できない場合は、タクシー代も医療費控除が認められることがあります。
まとめ
歯科治療費と一口に言っても、その種類はさまざまです。
治療にかかった費用だけでなく、交通費なども歯科治療費に含まれます。
医療費控除を受けるためには、どこまでが歯科治療費に該当するのか、そしてどの費用が医療費控除の対象になるのかを細かく把握しなければいけません。
そうしなければ、受けられると思っていた控除が受けられなかったり、年間にかかった医療費の総額が10万円を上回らなかったりすることが考えられます。