虫歯治療やインプラント治療、セラミックなどの詰め物や被せ物の治療にかかった費用については、医療費控除の対象になります。
しかし医療費控除には細かいルールも多く、事前に知っていなければスムーズに控除されない可能性もあります。
今回は、歯科治療費の医療費控除を受ける際の注意点について解説します。
歯科治療費の医療費控除を受ける際の注意点5選
少しでも歯科治療費の負担を減らすために、医療費控除を受けようと考えている方は、以下の注意点を押さえておきましょう。
・医療費控除対象外の治療について
・医療費控除の対象となる家族について
・セルフメディケーション税制との併用について
・領収書の保存期間について
・還付金の振込時期について
各項目について詳しく説明します。
医療費控除対象外の治療について
冒頭で触れたように、虫歯治療やインプラントやインプラント治療、セラミック治療などは医療費控除の対象になります。
しかし、以下のような治療はすべて医療費控除が認められていません。
・見た目を美しくする審美目的の矯正治療
・ホワイトニング
・予防を目的としたクリーニング など
機能回復等の治療については対象、審美目的や予防処置の治療については対象外になると覚えておきましょう。
医療費控除の対象となる家族について
医療費控除の対象となるのは、自己または自己と生計を同一にする配偶者、その他の親族のために支払った歯科治療費を含む医療費です。
つまり、歯科治療を受けた本人だけでなく、その家族も歯科治療費も対象になるということです。
またここでいう家族の範囲は、本人と配偶者の他、子どもや孫、両親や祖父母、兄弟姉妹が含まれています。
ただし、前述の通り生計を同一にする家族に限ります。
例えば夫婦関係を解消していない配偶者がいるものの、別の住所かつそれぞれの生活費で生活しているような場合、生計を同一にしているとは言えません。
ちなみに、扶養家族ではない共働きの夫婦については、歯科治療費を含む医療費を合計して申告できます。
学生である子どもや、田舎の両親に仕送りをしている場合なども、生計を同一にしていると言えるため、医療費を合計することが可能です。
セルフメディケーション税制との併用について
歯科治療費の医療費控除は、セルフメディケーション税制との併用ができません。
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防として、一定の取り組みを行っている方が控除の対象となる制度をいいます。
その年中に自己または自己と生計を同一にする配偶者その他の親族のために、12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に適用されます。
対象医薬品については、医師に処方される医薬品から、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品に転用されたものなどが該当します。
特に高齢の方などは、セルフメディケーション税制の活用も検討しているかと思いますが、歯科治療費を含む一切の医療費控除とこちらの制度は併用できません。
そのため、どちらも条件として満たしていて申告できる場合は、控除額が大きい方を選びましょう。
ただし同じ世帯に複数の納税者がいて、医療費控除とセルフメディケーション税制の両方を申告可能な場合は、併用することが可能です。
例えば夫が医療費控除、妻がセルフメディケーション税制を申告すれば、実質2つの制度を併用できます。
領収書の保存期間について
歯科治療費の医療費控除では、歯科治療費等の領収書が必要になります。
2017年の確定申告から医療費の領収書を添付する必要はなくなりましたが、こちらは5年間保存しなければいけないため、紛失しないように注意しましょう。
領収書のコピーは、医療費控除の必要書類として認められない場合があるため、必ず原本を保管してください。
また領収書の発行が難しい公共交通機関を利用した通院の場合、支払ごとに領収書を受け取る他、日付・金額・目的・人数などをメモしておくことをおすすめします。
正式な領収書でなくても、細かい情報を紙に残しておけば、それが領収書の代わりになります。
還付金の振込時期について
歯科治療費の医療費控除における還付金の振込時期は、確定申告後1ヶ月~1ヶ月半後が目安です。
申告期間の初めの方に確定申告を済ませれば、1ヶ月程度で振り込まれます。
逆に申告期間ギリギリに手続きを行った場合、振込までに2ヶ月ほどかかってしまうため、早めに還付金を受け取りたい方は注意してください。
また直接税務署に足を運んでの手続きではなく、インターネットで手続きを行うe-Taxであれば、還付金は手続きから2~3週間後には振り込まれます。
まとめ
歯科治療費の医療費控除でもっとも気を付けたいのは、医療費控除の対象だと勘違いして、高額な歯科治療を受けてしまうということです。
また対象となる家族や他の制度との併用の有無、領収書の扱いや振込時期などについても、事前に把握しておくことをおすすめします。
もし医療費控除について不安な点があるのであれば、歯科クリニックでのカウンセリングの際、歯科医師に相談してみてください。