インプラント治療を受けた後は、これまで歯を失っていた方の生活が一変します。
咀嚼はしやすくなりますし、発音にも良い影響が出るほか、何より口元の審美性が格段にアップします。
しかし、自宅で行うアフターケアには注意を払わなければいけません。
今回は、インプラント治療後に使用する歯磨き粉の選び方を解説します。
インプラント治療後におすすめの歯磨き粉4選
インプラント治療後は、インプラントに関するトラブルを予防するために、以下のような歯磨き粉を選ぶべきです。
・フッ素配合のもの
・研磨剤不使用のもの
・歯周病予防ができるもの
・医薬部外品
各項目について詳しく説明します。
フッ素配合のもの
フッ素が含まれている歯磨き粉は、インプラント治療後に使用する歯磨き粉としては非常におすすめです。
フッ素は自然界に広く存在するミネラルの一種で、歯質の強化や虫歯菌の活動抑制、唾液の再石灰化の促進といった効果があります。
そのため、口内を虫歯になりにくい環境に整えることが可能です。
ちなみにインプラントに使用されるチタンは、フッ素に触れると腐食してしまうことがありますが、市販のフッ素入り歯磨き粉はこのようなリスクとは無縁です。
市販の歯磨き粉に含まれるフッ素はあくまで低濃度であるため、安全が確保されています。
ただし、海外製の歯磨き粉はそのあたりの安全性が不明瞭であるため、使用しないことをおすすめします。
研磨剤不使用のもの
インプラント治療後に使用するのであれば、研磨剤が含まれていない歯磨き粉もおすすめです。
なぜなら、研磨剤や顆粒が含まれている歯磨き粉の場合、歯の表面やインプラントにキズをつけてしまう可能性があるからです。
また研磨剤や顆粒が歯周ポケットに入り込むと、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラント周囲炎は歯周病に似た疾患であり、名前の通りインプラント周囲の炎症や腫れなどを引き起こします。
歯周病予防ができるもの
インプラント治療後の歯磨き粉を選ぶ際には、歯周病予防ができるかどうかもチェックしましょう。
こちらも、インプラント周囲炎を予防するにあたっては重要なことです。
インプラント周囲炎の主な原因は、歯周病菌に感染することです。
そのため、歯周病予防成分が入っている歯磨き粉を選べば、必然的に治療後の腫れや赤みといった症状は回避しやすくなります。
ちなみに歯周病予防効果のある成分とは、具体的には抗菌剤のことを指しています。
成分表にクロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノールなどの記載がある場合、抗菌剤が含まれている歯磨き粉だということがわかります。
医薬部外品
歯磨き粉には、有効成分が配合されている医薬部外品と、有効成分が含まれていない化粧品の大きく2種類があります。
基本的にはどちらを選んでも問題はありませんが、可能であれば、インプラント治療後は医薬部外品の歯磨き粉を選択しましょう。
化粧品に分類される歯磨き粉には研磨剤が含まれています。
先ほども解説したように、研磨剤は歯の表面やインプラントにダメージを与える原因になるため、避けなければいけません。
歯科クリニックで販売されているものを選ぶのもおすすめ
「自分で歯磨き粉を選ぶのが面倒臭い」「結局どれが良いかわからない」という方は、歯科クリニックで販売されている歯磨き粉を購入するという選択肢もあります。
こうすることで、専門家の推薦により、インプラントに対して安全かつ効果的な清掃を促進する歯磨き粉を選べます。
そのためインプラント治療を受けた直後や、治療後のメンテナンスの際に歯科医師に相談し、適した製品を手に入れましょう。
ちなみに、歯科クリニックで販売されている歯磨き粉の中には、ドラッグストアなどでも取り扱っている製品もあります。
そのような場合は、もちろんドラッグストアで購入しても構いません。
インプラント治療後のブラッシングにおけるコツ
時間をかけて歯磨き粉を選んだとしても、ブラッシングの方法が間違っていると、インプラントにダメージを与えてしまう可能性があります。
そのため、ブラッシングの際は傷口に刺激を与えないよう、毛がやわらかい歯ブラシを使用しましょう。
もし治療後に歯科クリニックで歯ブラシが提供されたのであれば、そちらを使用してください。
またうがいも頻繁には行わず、強くすすぐことは避けましょう。
口をすすぐときには、優しく水を口に含み、そっと吐き出すようにするのがポイントです。
ちなみにインプラント治療から数日の間は、治療箇所が非常に敏感になっているため、必ず歯科医師の指示に従ってブラッシングやうがいをしてください。
まとめ
インプラントは非常に利便性が高い補綴物ではありますが、決して治療が簡単に終わるわけではありません。
時間をかけてゆっくり人工歯根と骨を結合させ、問題なく使用できるように仕上げていきます。
そのため、治療後のトラブルが起こるのは非常にもったいないことだと言えます。
少し面倒かもしれませんが、長く使用するためには歯磨き粉選びを怠ってはいけません。