歯を失った際の治療法には、さまざまな方法が選択されます。
代表的なものは入れ歯やインプラント、セラミックなどですが、ブリッジも選択肢の一つです。
ブリッジには独自のメリットがあり、まだすべての歯を失っていないのであれば、こちらも候補に入れるべきです。
今回は、ブリッジを選択するメリットを中心に解説します。
ブリッジの概要
ブリッジは、健全な歯を支えにして、その間に人工義歯を配する治療法です。
歯を失った部分に架ける橋のような構造をしていることから、ブリッジと呼ばれています。
また支えとなる健全な歯は支台歯、歯があるように見せた部分をダミーと呼びます。
ブリッジの歴史は紀元前5世紀ごろまでさかのぼり、この頃には金属のプレートを使って数本の健康な前歯をつなぐブリッジのようなものが発見されています。
海外では、歯周病によって抜けそうになった前歯をつなぎ、固定する目的で用いられていました。
現在は、失った歯をカバーする治療として、多くの患者さんに選ばれています。
ブリッジを選択するメリット
数ある治療法の中からブリッジを選択するメリットは、主に以下の通りです。
・自身の歯で噛む感覚を味わえる
・見た目がキレイになる
・手術の必要がない
・脱着の手間がない
・銀色のものなら保険が適用される
各メリットについて詳しく説明します。
自身の歯で噛む感覚を味わえる
歯を失った方は、ブリッジを選ぶことによって自身の歯でしっかり噛んでいるような感覚を味わえます。
こちらは、自身の天然歯を土台にしてブリッジをつくるからです。
周囲の歯と近い感覚で食事ができるため、これまで食べ物の制限があった方なども、気兼ねなく好きなものを食べられます。
また咀嚼がしやすくなるため、食べ物の旨みが以前より感じやすくなることも期待できます。
見た目がキレイになる
歯が欠けている部分にブリッジを装着すれば、当然見た目の審美性もアップします。
ブリッジは歯を埋める数々の治療法の中でも、自然な見た目を回復することに長けています。
支台歯やダミーは元の天然歯の形状や色に合わせてつくられるため、まるで本物のように見えます。
もちろん歯の審美性が上がるということは、これまで口内を見られるのが恥ずかしかった方でも、気にせずに会話などを楽しめるということになります。
手術の必要がない
ブリッジの場合、インプラントのように外科手術を行う必要がありません。
そのため、患者さんの身体的な負担は軽減されます。
また歯科クリニックそのものや歯科治療が苦手な方、痛みに敏感な方などにとっては、精神的負担を減らすことにもつながります。
さらに手術の必要がないことから、治療期間は3~4週間程度と比較的短いです。
抜歯を伴う場合であっても、それほど治療期間は長期化しません。
そのため、日頃仕事などで忙しく、あまり通院の時間を確保できない方にも向いています。
脱着の手間がない
ブリッジは入れ歯と似たような構造ではありますが、入れ歯と違って脱着の手間がありません。
そのため、非常にブラッシングがしやすいです。
部分入れ歯の場合、メンテナンスを行う際はその都度脱着しなければいけません。
また天然歯と入れ歯は別々に洗浄する必要があり、管理には少し手間がかかります。
一方、ブリッジは支台歯にセメントで固定されているため、ブラッシングの際も取り外すことができません。
もちろん、装着したままの状態でブラッシングをすることも可能です。
銀色のものなら保険が適用される
ブリッジにはさまざまな素材が使用されますが、銀色の金属を使用したものであれば保険が適用されます。
そのため、インプラントなどよりも圧倒的に安い費用で作製できます。
ちなみに、セラミックなどを用いた見た目がキレイなブリッジもありますが、こちらは残念ながら保険が適用されません。
ブリッジの注意点
ブリッジには数々のメリットがありますが、歯がすべて抜け落ちている方には適用できません。
なぜなら、ダミーを支えるための支台歯が必要だからです。
すべての歯を失った方や、歯列全体が虫歯や歯周病でボロボロの方は、総入れ歯など別の治療法を選択することになります。
またブリッジをかけるときには、両隣の歯を削る必要があります。
このように削られた支台歯は、治療後も義歯を支える歯としての役割を果たすため、負担は大きくなります。
そのため、元々健康な歯であったとしても、寿命が縮まる可能性があります。
さらに、人によってはブリッジを入れたことによって空気が漏れてしまい、治療前よりも発音がしにくくなることが考えられます。
まとめ
ブリッジは審美性・機能性ともに優れている治療法であり、「自身の歯で噛みたい」という方には特におすすめです。
またできる限り早く歯を手に入れたい方や、脱着の手間を省きたい方にも向いています。
ただし歯を削りたくない方にとっては、少し抵抗のある治療内容かもしれません。
実際ブリッジを選択するかどうかは、メリット・デメリットを細かく把握した上で判断してください。