進行してしまった虫歯に対し、抜歯を防ぐ最終手段として行われるのが根管治療です。
歯の神経や虫歯菌を除去し、患者さんを重度の虫歯から救います。
しかし、根管治療の成功率は、数ある歯科治療の中でも決して高い方ではありません。
今回は、根管治療の成功率をアップさせる方法について解説します。
根管治療の成功率はどれくらい?
虫歯治療における最後の砦とも言われている根管治療ですが、こちらは決して簡単な治療ではありません。
歯の根の治療は難しく、なおかつ丁寧に時間をかけなければいけないからです。
つまり歯科医師の技術だけでなく、体力も必要な治療だということです。
また日本の根管治療の成功率は、30~50%程度だと言われています。
このように半数以上が再治療となっていることからも、根管治療がいかに困難な治療なのかということがわかります。
もちろん、より良い治療を行うために技術は日々進歩していますが、他の歯科治療よりも明らかに成功率が低いのは事実です。
根管治療の成功率をアップさせる方法4選
治療を受ける患者さんからすれば、できる限り何度も同じ治療を受けるのは避けたいと考えるのが自然です。
特に歯科治療に苦手意識を持っている方は、少しでも治療や通院の負担を減らしたいと考えているでしょう。
根管治療の成功率は、患者さんの工夫によって多少はアップさせることができます。
主な方法は以下の通りです。
・経験豊富な歯科クリニックを選ぶ
・精密な検査や診断ができる歯科クリニックを選ぶ
・治療中は口内を清潔にする
・スケジュール通り通院する
各項目について詳しく説明します。
経験豊富な歯科クリニックを選ぶ
最後まで問題なく根管治療を終わらせるにあたって、経験が豊富な歯科クリニックを選ぶことは欠かせません。
冒頭でも触れたように、根管治療は非常に難易度が高い治療です。
そのため、熟練した歯科医師による正確な診断、適切な治療が求められます。
根管治療が得意かどうかは、歯科クリニックのホームページなどを閲覧すればある程度把握できます。
精密な検査や診断ができる歯科クリニックを選ぶ
歯の根の先は複雑な構造をしていて、人によってその形状が異なります。
こちらも根管治療の難易度を上げている理由の一つです。
そのため、根管治療の成功率を上げるためには、精密な検査や診断ができる歯科クリニックを選ぶのも大切です。
具体的には、CTを導入している歯科クリニックが挙げられます。
CTは、3次元で撮影し、確認したい部分を立体的に現すことができる医療機器です。
一般的なレントゲンでは、歯の状態を平面的にしか撮影できませんが、CTがあればより正確な検査や診断が可能になります。
また根管内の複雑な形状も把握できるため、治療の正確性は向上します。
治療中は口内を清潔にする
根管治療は虫歯治療などと同様、一度ですべてが完了する治療ではありません。
完全に神経や虫歯菌を取り除くためには、何度か歯科クリニックに足を運ぶ必要があります。
また根管治療期間中、患者さんは常に口内を清潔にしておかなければいけません。
口内に汚れが残っていると、治療中の細菌感染リスクが高まり、再治療の可能性が高まります。
もちろん、治療当日は直前にブラッシングを行い、根管治療に適した口内環境で来院することも大切です。
スケジュール通り通院する
最初の根管治療が終わると、歯科医師から次に来院する日時を伝えられます。
このとき伝えられた日時通りにしっかり来院することも、根管治療の成功率に大きく関わります。
こちらは成功率を上げるというよりは、失敗する確率を下げる工夫だと言えます。
根管治療中は、治療箇所に仮蓋という詰め物を充填しますが、こちらは正式な詰め物と比べて外れやすいようにできています。
そのため、スケジュール通りに治療を受けなければ、仮蓋の中に細菌が入り込むリスクが高くなってしまいます。
歯科クリニックが苦手な方は、途中で来院するのが億劫になることもあるかと思いますが、成功率を上げるには辛抱強く通院しなければいけません。
そもそも虫歯を放置しないことが大切
根管治療の成功率を上げる工夫も大切ですが、そもそも虫歯を放置しなければ、根管治療を受けることもありません。
そのため、少しでも痛みなどの自覚症状があれば、早急に歯科クリニックに相談してください。
もっと言えば、虫歯はほとんど自覚症状がない初期症状の段階で発見し、治療することが大切です。
初期症状の虫歯は、歯を削らずに治療できる可能性があり、患者さんの負担は非常に少ないです。
また虫歯を早期発見するには、数ヶ月に1回程度歯科クリニックで検診を受けるのが望ましいです。
まとめ
歯が痛むにもかかわらず、「面倒臭い」「痛い思いをしたくない」といった理由で、そのままにしたことがある方は少なくないでしょう。
痛みが出ている場合、放置しても虫歯が自然に治癒することはありません。
また虫歯治療を回避し続けていると、より大がかりで難易度も高い根管治療を受けなければいけなくなります。
一方早い段階で治療できれば、負担や手間、コストは最小限に抑えられます。