長年歯科クリニックに通っていない方の中には、至る所で虫歯を発症し、歯がボロボロになっている方もいるでしょう。
しかしこのような状態になっても、放置し続けるのは良くありません。
すぐに歯科クリニックを訪れれば、まだ間に合う可能性があります。
今回は、歯がボロボロの状態を放置するデメリットを中心に解説します。
歯がボロボロの状態を放置してしまう理由
虫歯で歯がボロボロにもかかわらず、放置してしまう理由としては、主に以下の2つが挙げられます。
・見せるのが恥ずかしい
・怒られそうで怖い
ボロボロの歯を歯科医師に見せるということは、十分なセルフケアをしてこなかったことを明確にするのと同じことです。
特にある程度年齢を重ねている方は、このような状態を診られるのが恥ずかしいと感じ、なかなか重い腰が上がらないことが多いです。
しかし、実際歯科医師は多くの患者さんを診てきていますし、その中には当然歯がボロボロの方もいます。
そのため、恥ずかしがる必要はありません。
また歯科医師に歯を見せたとき、「怒られそうで怖い」という理由から、歯科クリニックへの通院を敬遠する方もいます。
「どうしてこのようになるまで放っておいたのですか?」などと言われると、患者さんは委縮してしまいます。
実際は、このように患者さんに対して怒りをあらわにする歯科医師はまずいないため、安心してください。
ボロボロの状態でも、勇気を出して通院してくれた患者さんに対し、歯科医師は適切な治療計画を提案します。
歯がボロボロの状態を放置するデメリット4選
至る所で虫歯が進行している状態を放置すると、以下のようなデメリットにつながります。
・歯をすべて失う
・治療費が高額になる
・虫歯以外の症状につながる
・生活の質が下がる
各デメリットについて詳しく説明します。
歯をすべて失う
歯がボロボロの状態をそのままにしておくと、やがて歯をすべて失うことになります。
虫歯を放置している限り、自然に回復することはありません。
流れとしては、まず初期虫歯を発症し、C1と呼ばれる歯の表面の虫歯に進行します。
その後、歯の内部にある象牙質にまで虫歯菌が侵入し(C2)、さらには神経にまで達します(C3)。
さらに、最終的にはC4と呼ばれる歯の根っこの虫歯を発症します。
歯根にまで達した虫歯は、歯の大部分を溶かしてしまうため、すべての歯が同じ状態になれば歯はどんどん失われていきます。
治療費が高額になる
歯がボロボロの状態を放置すればするほど、治療費は高額になっていきます。
初期虫歯は痛みがないため、歯を削らずに治療できる可能性があり、治療費も節約できます。
一方重度の虫歯は根管治療を受ける必要があり、こちらは保険診療でも多くの費用と時間を費やします。
さらに歯を支える骨が損傷すると、修復はより専門的なものになり、治療費は跳ね上がります。
虫歯以外の症状につながる
虫歯を放置していると、虫歯以外の症状が出始めることもあります。
代表的な症状が副鼻腔炎です。
副鼻腔炎は、鼻の周辺にある副鼻腔という空洞の粘膜が炎症を起こす疾患です。
上顎の奥歯の根は副鼻腔に近接しているため、奥歯付近が虫歯になっていると感染が広がりやすく、副鼻腔炎につながります。
また副鼻腔炎を発症すると、炎症から来る頭痛や鼻水などの症状を伴い、治療するには長期間の抗生物質の服用が必要になります。
生活の質が下がる
歯がボロボロのままだと、生活の質が著しく低下します。
具体的には、食事や発音の制限が多くなったり、困難になったりします。
歯がボロボロの状態では、硬いものをうまく噛めません。
そのため、栄養バランスの悪化や咀嚼機能の低下、消化不良などにつながります。
またサ行やタ行などの音は、前歯がなければ発音できません。
つまり歯がボロボロの状態だと、会話やコミュニケーションにも支障が出てしまうということです。
歯がボロボロになった方の一般的な治療の進め方
全体的に歯がボロボロになっている場合、口内の衛生状態も悪化しています。
そのため、まずはプラークや歯石を除去し、口内環境を整えます。
その後、重度の虫歯は根管治療で対応します。
こちらは汚染された歯の神経を除去し、根管内をキレイに殺菌・消毒する治療です。
上記の治療で歯や歯茎が健全な状態に近づいたら、被せ物を作製します。
このとき自由診療のセラミックを選ぶことで、天然歯の色調や光沢、透明度や質感を忠実に再現することができます。
ちなみに、歯が健全な状態に戻ったとしても、数ヶ月に1回は歯科クリニックでメンテナンスを受けなければいけません。
まとめ
歯がボロボロになっている方は、「今さら治療を受けても…」と思うかもしれませんが、虫歯治療に遅いも早いもありません。
どれだけ進行していようと、いつかは必ず治療を受ける必要があります。
また通院するのが嫌だからといって、先延ばしにしていても何も良いことはありません。
どんどん通いにくくなる一方であるため、どこかのタイミングで勇気を出して歯科クリニックに相談してみましょう。