入れ歯を装着することにより、歯を失った方でも咀嚼や発音がしやすくなります。
また歯を失った部分の腫れ、歯周病といった症状も未然に防げる可能性があります。
しかし、入れ歯を入れてからというもの、どうも痛みが引かないというケースも考えられます。
今回は、入れ歯の装着で痛みが出る原因や対処法を解説します。
入れ歯の装着で痛みが出る原因8選
入れ歯装着後の痛みは、主に以下のような原因で発生します。
・入れ歯が合っていない
・噛み合わせが悪い
・唾液の量が少ない
・装着に慣れていない
・顎関節症を発症している
・骨や筋肉が痩せている
・食べ物が挟まっている
・メンテナンスが足りていない
各項目について詳しく説明します。
入れ歯が合っていない
歯科クリニックで作製した入れ歯が合っていない場合、装着時には痛みが出る可能性が高いです。
口内は髪の毛が1本入っているだけでもわかるくらい敏感であるため、合っていない入れ歯が粘膜に当たれば痛みが出るのは当然です。
またこのようなケースでは、入れ歯を使用し続けてはいけません。
すぐ歯科クリニックに相談し、調整をしてもらいましょう。
ちなみに、歯茎は年齢を重ねるにつれて形状が変わるため、修正は定期的に行わなければいけません。
噛み合わせが悪い
入れ歯に問題がなかったとしても、患者さん自身の噛み合わせに問題がある場合、痛みが出る可能性があります。
こちらは、食べ物を咀嚼する位置がずれてしまい、力のかかる部分、かからない部分が出てくることが理由です。
このようなケースでも、早急に歯科クリニックを受診する必要があります。
また部分入れ歯の場合、支えとなる歯の形状などに問題があれば、そちらの治療を受けなければいけないことも考えられます。
唾液の量が少ない
唾液の分泌量が少ない場合、口内が乾燥し、入れ歯の装着による舌もしくは唇の痛みが出やすくなります。
具体的には、乾燥によって歯茎と入れ歯の摩擦が強くなったり、入れ歯がくっついたりすることが痛みにつながる理由です。
また唾液の量が少なくなっている場合、シェーグレン症候群を発症している可能性があります。
シェーグレン症候群は指定難病の一つで、免疫のバランスが崩れることによって目や口などの乾燥症状が出る疾患です。
異常に口内が乾くという方は、まず歯科クリニックに相談して原因を突き止めましょう。
装着に慣れていない
入れ歯を装着したばかりの方は、口内の違和感に慣れておらず、痛みを感じることがあります。
一般的に入れ歯の装着には1ヶ月程度で慣れてきますが、1ヶ月以上経っても改善されない場合、何かしらの問題が生じている可能性があります。
場合によっては、歯科クリニックで修正をしなければいけないことも考えられます。
顎関節症を発症している
入れ歯を装着してから、顎周辺に痛みを感じるようになったという場合は、顎関節症を発症していることも考えられます。
顎関節症は、顎の痛みや異音、開口障害といった症状が見られる疾患です。
そのまま放置すると、関節円板の癒着などが進行し、まったく口が開かなくなってしまうこともあるため、早急に歯科クリニックで診てもらいましょう。
骨や筋肉が痩せている
入れ歯を装着し、しばらく経ったタイミングで痛みを感じ始めた場合、顎の骨や筋肉が以前よりも痩せている可能性があります。
人は年齢を重ねると、少しずつ顎の骨や筋肉の使用頻度が減り、衰えていきます。
そのため何年も同じ入れ歯を使用しているという場合、いつの間にか歯茎と入れ歯の間に隙間ができ、合わなくなってしまうことがあります。
このようなことにならないためにも、歯科クリニックでの定期メンテナンスは重要です。
食べ物が挟まっている
口内の異物感と痛みを同時に感じるという場合、入れ歯と歯茎の間に食べ物が挟まっている可能性があります。
特に痛みを生じやすいのは、繊維質の野菜やゴマなどの小さいものが入り込んだときです。
またこれらは磨き残すケースも多いため、まずは痛む部分を優しくブラッシングして様子をみましょう。
頻繁に食べ物が入り込む場合、入れ歯の調整が必要になることもあります。
メンテナンスが足りていない
入れ歯を毎日きちんと洗浄しなかったり、歯を磨いていない状態で使用したりしていると、口内炎ができて痛みが強くなることがあります。
また不適切な入れ歯の使い方をしていると、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
誤嚥性肺炎は食べ物や唾液と一緒に細菌を飲み込んでしまい、細菌が肺に感染して発症するものであり、高齢の方が発症すると命の危険もあります。
まとめ
入れ歯を装着することにより、痛みが出るケースは決して珍しくありません。
特に装着し始めの頃は、違和感や痛みに悩まされやすくなります。
しかし、その痛みがいつまでも続いたり、ある日突然強い痛みに襲われたりした場合、口内や入れ歯にトラブルが発生している可能性が高いです。
このようなトラブルについては、たとえ面倒でもその都度しっかりと解決していかなければいけません。