親知らずが斜めまたは横に生えている場合、抜歯しなければ口内に悪影響が及ぶ可能性があります。
具体的には、歯並びの悪化や虫歯・歯周病のリスク増大が挙げられますが、他にもさまざまな症状につながることが考えられます。
今回は、親知らずが引き起こす身体の異常について解説します。
親知らずが引き起こす身体の異常6選
状態の良くない親知らずは、以下のような身体の異常を引き起こすおそれがあります。
・内臓の異常
・頭痛
・口臭
・発熱
・骨髄炎
・糖尿病
各項目について詳しく説明します。
内臓の異常
親知らずが引き起こす身体の異常としては、まず内臓の異常が挙げられます。
こちらは、親知らずの腫れが内蔵疾患につながるというものです。
状態が良くない親知らずは、周囲の歯茎が腫れやすくなります。
またそこから細菌感染が起こると、口を開けるのも難しくなり、次第に喉の下も腫れてきます。
さらに、喉の下に広がった細菌が首や胸周辺にまで広がると、心臓を始めとする内臓にまで悪影響を及ぼします。
細菌感染による心臓疾患が起こった場合、命を落とす可能性もあるため、非常に危険です。
頭痛
親知らずがあることにより、頭痛がひどくなるケースもあります。
こちらは、噛み合わせの変化によって筋肉のバランスを崩すことが主な理由です。
親知らずは他の歯とは違い、上下4本すべて生えてくるわけではありません。
人によっては、上1本、下1本だけ生えているというようなこともあります。
また横向きや斜めに生えてくることもあるため、前の歯を押したり、生えてきても噛み合う歯がなかったりするケースも珍しくありません。
このような噛み合わせの変化は、筋肉のバランスの悪化や頭痛につながります。
また親知らずの状態が悪いと、顎の動きを阻害し、過度に顎の筋肉やこめかみ部分が緊張して、頭痛を引き起こすことも考えられます。
口臭
口臭も、親知らずが引き起こす身体の異常の一つです。
特にまっすぐ生えていない親知らずについては、歯ブラシが届きにくくプラークが蓄積されるため、口臭を引き起こしやすくなります。
また、半分埋もれているような親知らずについても、きちんと汚れを除去できないことから、口臭につながる可能性が高いです。
ちなみに親知らずがあると虫歯や歯周病のリスクが高まりますが、これらを発症しているにもかかわらず放置した場合も、強烈な口臭が出ることがあります。
口臭は自身だけの問題でなく、周囲の方にとっても不快なものであるため、日常生活におけるダメージは大きいと言えます。
発熱
親知らずの状態が良くない場合、発熱することも考えられます。
親知らずが痛むときは、基本的に細菌感染が起こっているときです。
そのため放置しておくと炎症が悪化し、まるで風邪を引いたときのような状態になり、熱が出たり身体がだるくなったりします。
また風邪のような症状が出たとき、多くの方は「風邪を引いた」と思うようになり、原因である親知らずの治療がますます放置されることにもつながります。
やがては風邪の症状とは異なるとは感じながらも、親知らずが原因とは考えにくくなる悪循環が生まれます。
骨髄炎
親知らずの状態が良くない場合、骨髄炎を引き起こすリスクも高まります。
こちらも、親知らずが原因で虫歯や歯周病を発症したときに併発し得る疾患です。
虫歯や歯周病になった親知らずを放置すると、顎の骨の中に菌が侵入し、顎骨骨髄炎という症状を引き起こします。
顎骨骨髄炎は、顎の骨が壊死してしまう難治性の疾患です。
特に親知らずでトラブルが起こりやすい下顎は、血流が悪く一度骨の中に入った菌が簡単に死滅しないため、骨髄炎になりやすい傾向にあります。
ちなみに顎骨骨髄炎の治療には外科手術を必要とする場合もあり、腐ってしまった骨の除去や、顎の骨の一部を切除するなど、治療が困難なケースが多くなります。
糖尿病
親知らずが原因で虫歯や歯周病を発症すると、必然的に糖尿病のリスクも高まります。
虫歯や歯周病により、歯茎に炎症が起こると、患部で炎症性物質がつくられます。
こちらの炎症性物質は、インスリンの生成や活動を阻害するように働きます。
す
ると、血糖値のコントロールがうまくできなくなり、糖尿病の発症や悪化につながります。
また糖尿病の方は唾液の分泌量が低下していて、唾液中の糖分の濃度も上昇しています。
こうした条件が重なると、プラークの付着が加速し、歯周病が進行すると考えられています。
ちなみに糖尿病を発症すると、感染しやすくなることに加え、高血圧による血管損傷により、歯周病も糖尿病も悪化していくと考えられています。
まとめ
親知らずは、まっすぐキレイに生えている限り問題ありませんが、生え方に問題がある場合は注意が必要です。
痛みや腫れが出ているにもかかわらず放置していると、症状が緩和しないばかりか、他の疾患を発症してしまう可能性もあります。
もし親知らずの状態が気になるのであれば、トラブルが起こる前に歯科クリニックに相談しましょう。
歯科医師は、親知らずの状態をチェックし、抜歯すべきかどうかを判断してくれます。