虫歯は老若男女問わず発症するもので、幼い子どもの歯で見られることもあれば、当然大人になってもできることがあります。
また子どもの虫歯と大人の虫歯は、どちらも同じ疾患であることには変わりありませんが、異なる特徴を持っています。
今回は、子どもの虫歯が持つ独自の特徴をいくつか紹介したいと思います。
子どもと大人の虫歯の違い7選
子どもの虫歯には、大人の虫歯とは違う以下のような特徴があります。
・発症しやすい
・色が白い
・発見が遅れやすい
・進行が速い
・永久歯に影響を与える
・年齢によってできやすい場所が変わる
・親御さんがサポートしながら予防する
各項目について詳しく説明します。
発症しやすい
そもそも子どもは大人に比べて、虫歯を発症する可能性が高いです。
特に乳歯はすぐ虫歯になってしまうため、注意が必要です。
大人の歯は萌出してからすでに何年も経過していて、石灰化が十分に進んでいます。
そのため、大人でも虫歯になる子とはあるものの、ある程度防ぎやすくなっています。
一方、子どもの乳歯や生えたばかりの永久歯は、完全に石灰化していません。
このことから虫歯菌に侵食されやすく、同時期に複数本虫歯になるようなケースも多く見られます。
色が白い
虫歯と言えば歯が黒く変色するイメージが強いかもしれませんが、子どもの乳歯に見られる虫歯は白っぽい色をしています。
こちらは大人の虫歯にはない特徴です。
子どもの初期虫歯については、エナメル質のカルシウムが溶け出してくることから、白く濁ったような見た目になります。
そのため、乳歯に所々白い斑点のようなものが確認できる場合、親御さんは虫歯の発症を疑うべきです。
発見が遅れやすい
大人の虫歯と比べて、発見が遅れやすいという特徴も持っています。
先ほども触れたように、乳歯の虫歯は一部が白濁した状態になります。
ほとんどの方が“虫歯=黒い”という先入観を持っているため、白い部分があってもスルーしてしまいます。
また初期虫歯は痛みなどもほとんどないため、見逃してしまう可能性がとても高いです。
こういった子どもの虫歯の見逃しは、定期的に歯科クリニックで定期検診を受けていなければなかなか防げません。
進行が速い
子どもの虫歯はエナメル質の構造の問題から、大人の虫歯よりも進行スピードが速いです。
歯の表面にある透明な層がエナメル質ですが、こちらは人間の組織の中でももっとも硬いものです。
そのため、エナメル質がしっかり形成されている大人は、虫歯菌をはじめとするさまざまな細菌から歯を守ることができます。
一方、子どもの乳歯はエナメル質の層が薄いため、外的な刺激に抵抗する力も弱いです。
よって、一度発症した虫歯はすごい速さで進行していきます。
ちなみに永久歯になれば、乳歯の倍ほどのエナメル質が形成されます。
永久歯に影響を与える
大人の歯はすべて永久歯であるため、虫歯になって影響が出るのは現在虫歯になっている部分か、虫歯を発症した歯の周辺にとどまります。
これに対し子どもの乳歯に見られる虫歯は、今後萌出してくる永久歯にも悪影響を与えることがあります。
例えば、乳歯で重度の虫歯を患っているとします。
この場合、治療せずに放置することによって、根の先に膿が溜まりやすくなります。
さらに、今後生えてくる永久歯の形成異常が起こったり、変色につながったりすることも考えられます。
ちなみに、永久歯の状態が悪くなると、全体的な歯並びや噛み合わせも悪くなることが予想されます。
年齢によってできやすい場所が変わる
大人の虫歯は、磨きにくい奥歯や、磨き残しが出やすい前歯の裏などで発症することが多いです。
こちらは年齢に関係なく、大人であれば誰しもに言えることです。
一方、子どもの虫歯は年齢によってできやすい場所が変わってきます。
例えば1歳頃は唾液の自浄作用を得にくい上の前歯、2歳後半~3歳頃は奥歯など噛み合わせる面に虫歯ができやすくなります。
このように、年齢によって特に注意しなければいけない場所が変わるというのは、子どもならではの大きな特徴です。
親御さんがサポートしながら予防する
大人の虫歯は、本人がしっかりブラッシングを行い、定期検診に通っていればある程度予防できるものです。
しかし子どもの虫歯は、本人がどれだけ虫歯予防の意識を持っていても、それだけでは予防できません。
親御さんがサポートすることによって、初めて十分な予防歯科となります。
子どもはブラッシングの技術が未熟であり、丁寧に磨いているつもりでも磨き残しが出ます。
また虫歯になりにくい食べ物を自身で選ぶこともできません。
この辺りのケアについては、親御さんが責任を持って行う必要があります。
まとめ
子どもの虫歯の特徴を知っておかなければいけないのは、子ども本人ではなくその親御さんです。
また日々子どもの口内をチェックし、虫歯と思しき症状が見られる場合は、すぐに歯科クリニックに相談しなければいけません。
もちろん子どものケアをするだけでなく、親御さん自身もブラッシングなどのセルフケアを徹底することが大切です。