虫歯治療には痛みがあるため、歯医者に行くのが嫌だという人も少なくありません。
子どもに限らず、大人でも嫌だと思う人はいるでしょう。
虫歯治療の痛みを抑えて治療できる無痛治療を扱う歯科医院も増えていますが、無痛治療にはメリットばかりではなく、デメリットもあるのです。
主なデメリットについて解説します。
治療に時間がかかる
虫歯の治療において、麻酔を通常とは異なる方法でかけたうえで痛みを少なく治療する方法を、無痛治療といいます。
通常であれば、麻酔をかけるときは治療する歯の歯茎に注射して、歯を削る痛みを抑えるでしょう。
しかし、麻酔の注射だけでもかなりの痛みがあるため、無痛治療ではまず麻酔の注射の痛みを軽減することから始めます。
麻酔をかける方法として、通常よりも時間をかけて注射することで痛みを抑えるという方法がありますが、ゆっくり行う分、どうしても時間がかかります。
また、静脈内鎮静法という方法もあり、点滴で静脈に麻酔を注入することで眠ったような状態にし、治療することも可能です。
点滴は時間をかけて行う必要があるため、単に麻酔を注射するのと比べれば時間は長くなります。
ただし、何時間もかかるわけではありません。
無痛治療は、通常の治療と比べて数分から十数分ほど時間が長くなることに留意しましょう。
ただし、何時間もかかるというわけではないため、よほど忙しいという場合でなければあまり気にならないかもしれません。
扱っていない歯科医院もある
無痛治療はどこの歯科医院でも扱っているわけではありません。
そのため、まずはどこの歯科医院で扱っているのかを調べる必要があります。
無痛治療には専用の機材や薬品などが必要になるため、準備に費用がかかるのが、扱っている歯科医院が限られる原因の1つです。
例えば、麻酔は保管時の冷たい状態のまま注入すると痛みがあります。
無痛治療では痛みを抑えるべく、刺激が少ない体温に近い温度にするために、専用のウォーマーを使用しなければなりません。
また、麻酔を注射するときは圧力や速度が痛みと関係します。
無痛治療では、圧力や速度をプログラム制御できる電動注射器で麻酔をかけることもあるのです。
注射に使う針はできるだけ痛みが少ないよう極細の針を使用しますが、一般的な麻酔の注射に使用する針とは違うため、技術が必要となります。
無痛治療を扱うためには、必要な設備と十分な技術を持った常勤の歯科医師がいることが、最低限の条件となるのです。
以上の理由から、対応している歯科医院は限られてしまうため、探すのに時間がかかる可能性が高いでしょう。
しかし、近年は無痛治療を扱う歯科医院も増えてきています。
そのため、今は対応していないところでもいずれは対応するようになるかもしれません。
無痛治療を希望する場合は、通える場所にある歯科医院のなかから、扱っている所を探しましょう。
副作用がある治療もある
無痛治療には副作用が生じる治療がある点に注意しなければなりません。
たとえば、無痛治療では静脈内鎮静法といって、麻酔薬を腕の静脈に点滴針を刺して投与する麻酔法で痛みを和らげるケースがあります。
半覚醒という、寝ている状態と起きている状態の中間のような状態になり、痛覚なども鈍るため通常よりも痛みを感じにくくなります。
痛みだけではなく恐怖心も和らげることができ、反射も鈍くなるため、通常の治療を受けるのが難しい方にはおすすめです。
また、専門の麻酔医が状態をモニタリングしながら薬剤を投与していくため、安全に治療を受けることができます。
しかし、ごくまれなケースですが、薬剤の効果によって呼吸困難になってしまうことがあります。
その場合には、治療を中断することになるかもしれません。
麻酔には意識がはっきりしなくなるという副作用もあるため、車の運転などを避ける必要があります。
また、人によっては嘔吐、嘔気、頭痛、発熱などの症状がまれに起こることもあるため、症状が重いようなら病院で診察を受けましょう。
なお、無痛治療では笑気吸入鎮静法を行うケースがあります。
酸素マスクを装着して酸素とともに麻酔効果のあるガスを吸引するという方法で、笑気麻酔とも呼ばれるものです。
緊張を和らげる効果があるため、リラックスして治療を受けることができ、痛みに対する感覚もかなり鈍くなります。
笑気ガスには毒性がないため、身体にあまり負担がかからずガスもすぐに排出されるため、安心して治療を受けることができるでしょう。
麻酔が覚めるまでの時間も短く、車の運転も当日から可能です。
ただし、笑気麻酔は、あまり鎮静効果がないという人もいることに留意する必要があります。
まとめ
無痛治療は痛みを抑えて虫歯の治療を行う方法ですが、多くのメリットがある反面デメリットも少なくありません。
対応していない歯科医院も多いため、無痛治療を希望する場合は多くの歯科医院を調べる必要があるでしょう。
また、麻酔をかける時間が通常の治療よりも長くなる点には留意する必要があります。
治療によっては副作用があるものもあるため、事前にきちんと検査を受けましょう。