虫歯を発症している方の中には、「痛みさえ我慢できれば生活できる」と考え、放置している方もいるかと思います。
しかし、実際虫歯が引き起こすのは痛みだけではありません。
治療を受けずに放置していると、食欲も日に日に減少していきます。
今回は、虫歯が食欲不振を引き起こす原因を中心に解説します。
虫歯が食欲不振を引き起こす理由4選
虫歯の進行具合がひどく、なおかつ本数が多ければ多いほど、食欲不振につながる可能性は高くなります。
その理由は以下の通りです。
・歯の痛みで噛めなくなる
・冷たいものや熱いものがしみる
・歯ごたえのないものばかり食べる
・口内がネバネバする
各項目について詳しく説明します。
歯の痛みで噛めなくなる
虫歯は初期段階の場合、ほとんど症状がありません。
そのため、特に問題なく食事を摂ることができます。
一方、ある程度進行すると歯に穴が開き、その状態で食事を摂ると痛みが生じます。
もちろんこの痛みは虫歯が完治するまで続くため、徐々に食事を摂るのが億劫になり、食欲も減ってしまうことが考えられます。
また虫歯が1本しかない場合、逆側の歯で噛むことにより、痛みを回避しやすくなります。
しかし、全体的に虫歯が散らばっているという場合、どこで噛んでも痛みからは逃げられません。
冷たいものや熱いものがしみる
冷たいものや熱いものがしみることも、虫歯が食欲不振を引き起こす原因です。
歯に目立つような変色や穴がなかったとしても、虫歯を発症している場合は冷たいものがしみるようになります。
このような症状は、軽度の虫歯である場合や、まだ歯の神経に虫歯が達していない場合に見られます。
また熱いものがしみる場合は、虫歯が神経にまで達し、神経の大部分が炎症を起こしている可能性があります。
特に熱いものを食べた後、ジーンとした痛みが10秒ほど続くという場合、深くまで進行した虫歯である証拠です。
しみるという感覚は、痛みとは微妙に異なりますが、食事を阻害する症状という意味では同じです。
そのため、冷たいものや熱いものがしみる方は、食欲も減少しやすくなります。
ちなみに冷たくも熱くもない、常温に近いものであれば、虫歯があっても食べられる可能性があります。
しかし、温度は食事の美味しさを司る重要な要素です。
本来冷たいもの、熱いものを常温で食べた場合、これまでよりも旨みを感じられず、食事の満足感が得にくくなることが考えられます。
歯応えのないものばかり食べる
虫歯を放置している方は、前述の通り歯の痛みやしみる症状に苦しめられます。
そのため、食事を摂るときはできるだけ負担がかからないよう、やわらかいものを選びがちになります。
こちらも食欲不振を引き起こす理由です。
食事の際にしっかり噛むことで、唾液の分泌量は多くなり、さらには満腹中枢が刺激されやすくなるため、食事量が減ってダイエット効果も得られます。
また咀嚼をすることにより、人は「食事をしている」という感覚を得やすくなります。
一方歯ごたえのないものばかり食べていると、食事をしているという感覚が薄くなり、自然と食欲はなくなっていきます。
口内がネバネバする
口内がネバネバすることも、虫歯が食欲不振を引き起こす原因の一つです。
虫歯が悪化している方は、口内に多く存在する虫歯菌ネバネバした物質をつくり出します。
またこちらのネバネバは、歯周病菌によっても生み出されるものです。
もちろん、食事を摂るときもネバネバした感覚は残っていて、そのまま食事を摂ると不快感を覚えやすいです。
具体的には、何を食べてもネバネバ、ヌルヌルとした食感になることが挙げられます。
もちろんこのような不快感が続くと、食欲不振のリスクも高まります。
食欲不振に陥るデメリット
虫歯が原因で食欲不振に陥ると、食事から摂取する栄養の量が不足します。
そのため、身体に十分な栄養が行き渡らず、体力や免疫力が低下します。
つまり虫歯や歯周病だけでなく、別の疾患のリスクも高まってしまうということです。
また食欲がない方は、なるべく早く食事を終わらせたいと考えます。
食事によって得られる幸福感や満足感が少ないからです。
しかし、早く終わらせたいからといってしっかり咀嚼しないと、消化器官に与える負担は大きくなります。
結果消化不良を引き起こし、胃もたれや胸やけ、吐き気や下痢といった症状につながります。
ちなみに、食欲がない方は食事量や回数が減るため、便秘のリスクも高まります。
便秘になると腸内の環境が乱れ、腸の動きが悪くなることで、さらに食欲不振に陥るという悪循環が生まれます。
まとめ
虫歯を発症している方は、まず「痛みを我慢する」という考えを捨てるところから始めましょう。
痛みを我慢することには、特に何のメリットもありません。
むしろ痛みに慣れてくることで、少しずつ危機感が薄れ、さらに治療から遠ざかってしまう原因になります。
また虫歯は食欲を減少させ、全身の健康にも害を及ぼす必要があるため、“決して放置してはいけない病気”という意識を強く持ってください。