銀歯は金属でできているため、歯科金属アレルギーを発症するリスクがあります。
また金属アレルギーを発症すると、歯茎がただれたり舌がピリピリ痛んだりと、さまざまな症状に悩まされることになります。
今回は、銀歯が原因で発症する金属アレルギーに関するその他の注意点について解説します。
銀歯が原因で発症する金属アレルギーに関する注意点6選
銀歯を装着したことによって発症した金属アレルギーには、痛みなどの症状が出る以外にも注意すべき点がいくつかあります。
具体的には、以下のような点です。
・いきなり発症するケースは少ない
・味覚に影響が出ることがある
・全身症状につながることがある
・発症していることに気付きにくい
・事前の検査が必須
・根本的な治療が難しい
各項目について詳しく説明します。
いきなり発症するケースは少ない
金属アレルギーと聞くと、銀歯を口の中に入れた瞬間、アレルギー反応が出るような状況をイメージする方も多いかと思います。
しかし、実際いきなり発症するケースは少ないです。
多くの歯科金属アレルギーは、即座に発症するものではありません。
数年以上口内に銀歯を装着し続けることにより、初めて痛みや炎症といった症状が現れます。
そのため銀歯を装着した後、一定期間何の症状も出なかったからといって、油断してはいけません。
ちなみに、銀歯の一般的な寿命は5~7年程度とされていますが、こちらの寿命を迎える直前に金属アレルギーを発症することも考えられます。
味覚に影響が出ることがある
銀歯による金属アレルギーでは、痛みなど以外にも症状が現れることがあり、中でも特徴的なものとしては味覚への影響が挙げられます。
こちらは、舌の表面にある味蕾という器官に異常が生じることで起こります。
味蕾は味を感じる器官であり、その機能は食べ物の美味しさに直結します。
そのため、金属アレルギーによって味蕾がうまく機能しなくなると、食べ物の味を感じにくくなります。
また食べ物の味を感じにくくなるということは、塩分の摂取量が増えたり、生活における幸福感が減少したりといったデメリットにもつながります。
全身症状につながることがある
銀歯による金属アレルギーは、口内だけでなく全身にも症状を引き起こすことがあります。
こちらは金属アレルギーが他のアレルギーとは異なり、接触していない部分にも症状が現れるという特徴を持っているからです。
具体的には、アトピー性皮膚炎や湿疹などのほか、慢性的な頭痛や肩こりなどにつながることも考えられます。
さらに精神的な疾患としては、うつ病や倦怠感、自律神経失調症などとも関連性が深いです。
発症していることに気付きにくい
こちらは特に、銀歯から来る金属アレルギーで全身症状を発症している場合に言えることですが、症状が出ていても金属アレルギーと気付く方は決して多くありません。
なぜなら、他の症状と似ている部分が多いからです。
例えば顔や腕などに金属アレルギーによる湿疹が見られる場合、単なる肌荒れと判断してしまう方は多いです。
特にこれまで金属アレルギーを発症したことがない方は、事の重大さに気付かない可能性が高いです。
また足の裏や甲に見られる湿疹については、水虫だと勘違いされるケースもよく見られます。
事前の検査が必須
銀歯を装着する際は、金属アレルギーのリスクを軽減するため、事前にパッチテストを受ける必要があります。
パッチテストは、皮膚に金属を含んだ試薬を貼付し、アレルギー反応を確認する検査です。
背部や上腕などに貼付し、2日後に剥がして皮膚の反応を確認します。
こちらは外来で簡単に受けられる可能性が高いため、気になる方は歯科クリニックに相談してみましょう。
もし歯科クリニックで受けられないのであれば、最寄りの皮膚科などに相談します。
ちなみにパッチテストでは、歯科治療で使用されるニッケルやコバルト、クロムやパラジウム、銀や水銀などのアレルギー反応をチェックできます。
根本的な治療が難しい
金属アレルギーを発症している場合、痛みや腫れを伴う症状が出ますが、病変部については根本的な治療が難しいです。
なぜなら、口内に銀歯がある限りアレルギー反応は出続けるからです。
そのため一度金属アレルギーによる症状を改善し、口内や全身の皮膚をリセットしたいのであれば、銀歯を取り除くしかありません。
また、取り除いた後に再び銀歯を装着すると意味がないため、再治療後はセラミックなど自由診療のインレーが適用されるケースが多いです。
こちらは金属アレルギーのリスクをほとんど排除するものですが、その分費用が高額になります。
まとめ
これまで一切発症したことがない方でも、銀歯を入れたことで発症する可能性があるのが金属アレルギーの怖いところです。
また金属アレルギーは発症まで時間がかかる上に、口内以外にも症状を引き起こします。
そのため、急に症状が出ても金属アレルギーと気付かず、対処が遅れてしまうことも考えられます。
不安な方は、パッチテストの結果異常がなかったとしても、銀歯を使用しないことをおすすめします。